ばんちゃんがいつか、私より早く
死んでしまうことを知っている
死んでしまう、という言葉の確かさに
言葉にするのも怖くなるから
きっと人は空に帰るとか星になるとか
そういう風に言ったんだろう
ばんちゃんはいつか星になります
私より先に
ばんちゃんはいつか動かなくなる
ばんちゃんはいつか冷たくなる
そんなことわかっているのに
私は知らないふりをしながら生きている
ばんちゃんは、知ってるんだろうか
ばんちゃんが動いている瞬間を
少しでも残しておきたいと思って
昨日も動画を撮った
いつかこの動画をみて
私は絶対に泣いてしまう
ばんちゃんに声を掛ける
「かわいいね、ばんちゃん、大好きよ」
ばんちゃんはトカゲだから応えない
その言葉を1番近くで聞いている私の耳が
何故だかとても安らいでいることに気づく
誰かに言ってもらいたいことばだった
けどもうわたしは自分でじぶんを抱きしめて
そうやって、癒してあげられる
ばんちゃんと同じ、とかげだったら
私たちは友達になれたかなあ